[まつむし音楽堂]通信

 2013年冬号

 

●年末が近くなると、なにかと気ぜわしく物入りです。むかしはお正月が長かったので、家に閉じこもるための食べ物はもちろん、退屈しのぎのカルタや双六など遊び道具を用意しておく必要がありました。たぶんその頃からの習慣が消えないのでしょう。いまはお正月でもあいている店がふえて不便はないのですが、新しい年の節目としては些かメリハリを欠いています。束の間の正月気分に浸れるのは、家族が打ち揃ってお雑煮を食べるときぐらいでしょうか―。

●大家族制が崩壊して戦後は著しく核家族化が進行、いまではさらに進んで高齢者や未婚者の単身世帯が増加しています。古典能の「翁(おきな)」に象徴される「老い」のかたちを理想とする一方で、年金制度や医療、介護のあり方など、時限爆弾のような難題が山積しているのも日本の現実です。齢を重ねるのを祝(ほ)ぐべきか、あるいは嘆くべきなのでしょうか。

●2014年は「甲午(きのえ・うま)」「四緑木星」の年回り。同じ干支をもつ60年前(1954)の流行歌は「お富さん」「岸壁の母」「高原列車は行く」・・。この年、アメリカの水爆実験により第五福竜丸が被爆、また青函連絡船の洞爺丸が台風15号により遭難しています。保安大学校(現防衛大学)が開校したのもこの年ですが、「四緑木星」の年には風水害が多発するようです。「午」は「火」性でエネルギーがつよいので、火山の噴火や発砲事件なども懸念されますが、「備えあれば憂いなし」の精神で乗り切りましょう。

●20年ごとに行なわれる伊勢神宮の式年遷宮(10月)により、神様は東の「米(よね)の座(くら)」から西の「金(かね)の座」にお遷りになりましたが、伊勢の古老の言い伝えによると、この座での20年間は、戦争や恐慌、諸外国の勢力に悩まされるとか。心して新しい年を迎えたいものです。

(和田高幸)

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