[まつむし音楽堂]通信

 2014年 新春号

 

●あけまして、おめでとうございます。本年も相変わりませず本欄をご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

●一年の最後を飾る国民的歌謡番組「紅白歌合戦」。大みそかの夜、「歌は世につれ、世は歌につれ」といわれた昭和歌謡の時代が、すっかり遠くなってしまったことを実感した人もおられることでしょう。「歌」の中身が乏しく、ハイテクを操る壮大な舞台装置も、過剰な演出や派手なステージパフォーマンスの数々も、かえって薄っぺらな印象を与える結果になりました。

●出場50回を数える北島三郎さんが引退、昨年は藤圭子さん、島倉千代子さん、作詞家の岩谷時子さんも鬼籍に入りました。「千の風」以後、国民的歌謡といえるのは「ふるさと」ぐらいでしょうか。東北では「花は咲く」「あんぱんまんマ-チ」が被災者の傷んだ心を癒しています。

●ブラウン管の白黒テレビから液晶ハイビジョンへ、3Dへ、4Kへと「耳」より「目」に訴える傾向は、テレビの進化とともに年々つよくなっています。精彩で迫力のある映像に主眼がおかれているからでしょうが、心に滲みる歌やクラシック音楽もいい音で聞きたいもの。もちろん生(なま)にこしたことはありませんが、放送局から電波で届く音の品質はかなり優れています。テレビをオーディオ装置につなぐなどして工夫するのも一案です。

●タンノイやアルテック、JBLやARなど高級スピーカーがもてはやされた時代をへて、今はコンピュータでダウンロードした音楽をイヤホンやヘッドホンでパーソナルに楽しむ時代になりました。劇場や映画館はともかく、日常生活で音楽を共有する場といえば商業施設やレストランでしょうか。だれの耳にも入ってくるBGMが、案外パーソナルなメッセ-ジとして受け取られているようです。つまり音と空間がパーソナルに結ばれ共有されているのです。

●快適な音空間は脳波に好影響を与えコミュニケーション能力を向上させるということがわかっています。歌ったり、楽器を演奏するのも同じことです。こころにもからだにも効く音楽を、ごいっしょに追求しましょう。

(和田高幸)

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