まつむし音楽堂通信

 2014年 夏号

 

●大阪の夏、といえば天神祭の船渡御(ふなとぎょ)が頭に浮かびます。30年ほど前、天神祭の先陣を切って走る「ドンドコ船」を漕がせてもらったときのこと。住之江から木津川を上り堂島川に入ると中之島の近代的なビル群に目を奪われますが、水面(みなも)に広がる大阪の風景を独り占めする爽快感は格別でした。

●毛馬閘門(けまのこうもん)から東横堀川、道頓堀川へ進むと、川べりや橋の上に列(なら)ぶ浴衣姿の娘さんたちの熱い視線。若い漕ぎ手たちが発奮して道頓堀川を上(かみ)へ下(しも)へと漕ぎまくるエネルギーには圧倒されたものです。

●ことしは午(うま)の年、夏には若者たちのエネルギーが最高潮に達する可能性もあります。これを冷やそうと、エアコンを使い過ぎると停電になる惧れがあるのでご用心。

●第一次オイルショック(1973)ではTVの深夜放送が消え、道頓堀のネオンが消えて、戦後の高度成長期が終わりを告げました。東北大震災以降、電力の石油依存は当時よりも高くなっているといわれています。原油の高騰はたちまち電気代に跳ね返ってきます。生産・生活基盤を支える電力を、さらに効率よく使うシステムが求められましょう。

●チンチン電車の「松虫」駅付近には、今では見かけることが少なくなりましたが、昔から琵琶の木が自生しています。実を摘んで、電車を待つあいだ口に頬張るひととき。アベノの夏の、束の間の至福です。 

(和田高幸)

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