まつむし音楽堂通信

 2015年 残暑号

 

●残暑お見舞い申し上げます。「猛暑」が一段落、各地では旧盆を迎える準備が進んでいます。一昨年は伊勢神宮、昨年は出雲大社、ことしは春日大社・・・と神様の衣替え(遷宮)が続き、日本の歴史が大きな転換期を迎えているようです。アメリカを手本にアメリカ化を図ってきた日本は、敗戦後70年をへてその目論見が成熟、自らが手本を示す時代に入ったことを予感させます。

●国産ロケットH-IIBの打上げ成功は、とてもうれしいニュースでした。米ソ(ロ)がリードしてきた宇宙開発の結実となるISS(国際宇宙ステーション)へのシャトル便として、日本の無人ロケットへの期待が高まっています。ISSでのドッキング操作、NASAの地上管制官も日本人宇宙飛行士という運びとなったのも、単なる偶然とはいえないでしょう。「タマちゃん」がローカル鉄道の歴史を変えたように、これからは優秀な日本人たちが、世界の歴史を変えるかもしれません。

●先日、久方ぶりに白浜の南方熊楠記念館を訪れました。「粘菌」の研究で世界に知られる博物学者、南方熊楠(みなかた・くまぐす)は明治時代、欧米アカデミーの学者たちを博覧強記の語学力と研究実績で打ち負かした「超人」でした。また、太古から受け継がれる「鎮守の森」を破壊から守った「エコロジー」の先駆者でもありました。

●昭和天皇の御製に唯一登場する民間人の名前が、太平洋を見わたす番所山の一角に輝いています。「雨にけふ(ぶ)る神島(かしま)を見て紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」。いま、熊楠のような「超人」(たち)の出現が、待たれているのではないでしょうか-。 

(和田高幸)

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