まつむし音楽堂通信

 2015年 中秋号

 

●近ごろ物忘れがひどくなる半面、幼少期の記憶がふと甦ることがあります。たとえば通学していた小学校の校歌など、けっこう憶えているものですね。

●「千歳の松の風きよく 高き操(みさお)を契(ちぎ)りつつ われら常盤の学び舎(や)に いのち雄々しく生い立たん 茂れ若松 姫小松 強く正しく健やかに」(記憶のまま)。

●この歌詞から察すると、常盤小学校(阿倍野区)の前身は女学校だったのでしょうか。阿倍野は女子教育に熱心な土地柄だったのでしょう。古くから女学校や裁縫学校が数多くあったようです。今も幼稚園から小中高、大学、専門学校などが集積、女性の活躍を広く支援しています。

●第一次オイルショックの直前、高度経済成長期のピークともいえる1973年に録音された大阪基督教短期大学(きりたん)音楽会の実況録音盤(テイチク)を懐かしく聴いてみたところ、当時の学生たちの歌声の明るさに、かるい驚きを覚えました。

●世相というのは「声」にも反映するのでしょうね。聴いていてワクワクするようなハリのある歌声は、生産も消費も楽しくなるような高度成長期の産物といえるかもしれません。閉塞感の漂う経済環境を打破して、女性の活力がみなぎる「明るい」世の中を待ち望むのは、場末の音楽愛好家ばかりではないと思うのですが-。 

(和田高幸)

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