まつむし音楽堂通信

 2017年 残暑号

 

●いまではほとんど耳にしなくなった「いろは歌」。同じく「ひふみ歌」も耳にしなくなりました。「ひふみ」はヒー(1)フー(2)ミー(3)と数をよむとき日常的に使われていました。もともとは石上(いそのかみ)神社の古い「祝詞(のりと)」から伝わったもので、庶民のあいだでは怪我をしたときなど、おまじないのように唱えられていたのですが-。  

●ところで「いろは歌」は、万葉集の歌人・柿本人麻呂の作ともいわれますが、出典は詳らかではありません。いつごろだったか、40年ほど前に斑鳩のK寺を訪れたときのことですが・・。長年法隆寺に出仕していたという住職が説法の折、他言無用の話として、有名な「玉虫の厨子(ずし)」に収められていたのが「いろは歌」で、この典(ふみ)は法隆寺では最高機密に属するものだとおっしゃいました。この歌を7音ずつ区切って最後の音をとると「とが(咎)な(無)くてし(死)す」と読めます。

●想像にすぎませんが、「咎」いわゆる『罪』なくて死んだとされるのはイエス・キリストです。罪のないキリストが、人々の罪を背負って十字架にかかったということを「いろは歌」が示している・・・。ならば、厩宿皇子(うまやどのおうじ)といわれた聖徳太子の姿が重なってきます。エルサレム(キリストの出生地)は当時、いわゆる騎馬民族の拠点であったそうですが、生まれてまもなく駆け出す仔馬の姿にあやかって、とくにからだの弱い男の子は馬小屋の飼葉桶に寝かせるという風習があったようです。

●聖徳太子の預言書といわれる「未来(未然)記」は現存しないらしいのですが、むかし四天王寺で、楠正成がこれを見て戦勝を確信したことが太平記に記されています。釈迦入滅後の2500年(500年×5)は、とある計算によると2017年。「太子未来記」に予言される世相は「白法隠没(びゃくほうおんもつ)」とか。つまりユダヤ・キリスト教文明を担ってきた、いわゆるローマの子孫である白い肌の人々が支配した欧米中心の世界像が転換するという解釈です。白人社会の富を独占する“強い”アメリカがなくなって、そのあとは・・・。古くは大陸から、明治以降は欧米から技術、文化を吸収し同化してきた日本人の知恵の見せ所となるかもしれません。日本人にとって「ハルマゲドン」は一種の「薬」。お楽しみはこれからです。

(和田高幸)

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