まつむし音楽堂通信

 2019年 春号

 

●全国の人口統計では地方の過疎化が進むいっぽう、いまなお東京への一極集中が続いているようです。観光客(インバウンド)が増えたとはいえ、大阪の人口は減っています。「花の都・東京」の求心力は健在というわけですが、中枢機能(霞が関)が身近にあるのはなにかと便利なのでしょう。

●2025年に開かれる万博の正式名称が「大阪・関西万博」となったのも大阪の凋落を示しています。大阪経済を支えてきた多くの企業が、すでに本社を東京に移しているからですが、関西圏でとらえれば、たとえば京都の有名企業は、けっして京都を離れようとはしません。だからスポンサーとしては、かなり有力かと思います。

●ところで関東大震災(1923)のあと、大阪が「大(だい)大阪」と呼ばれた時代がありました。被災者が大挙して大阪へ移動してきたからでしょう。人口は東京を上回り、経済は活気づきました。「大阪へ行けばなんとかなる」といった漠然とした意識があったのかもしれません。作家の谷崎潤一郎も移住者の一人でしたが、東北(2011)で被災した文化人が大阪へ来た形跡はないようです。

●1970年の大阪万博を実現した元通産官僚、堺屋太一さんが亡くなりました。同じくテーマプロデューサーでSF作家の小松左京さんもすでに鬼籍に入っています。2025年に予定されている「大阪・関西万博」にはかつての高度経済成長期の余韻、潤沢な資金もなさそうですが、6年後に見聞する時代は、今とはすっかり変わっていることでしょう。

●少子高齢化、人口減、移民、ビッグデータ、AI、ロボット、クローン、遺伝子組換え、IPS細胞、惑星探査、ET、・・・まったく予想がつきませんね。とにかく「大阪はオモロイ」、と言ってもらえればヨシ、としましょうか―。

(和田高幸)

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