まつむし音楽堂通信

 2019年 初夏号

 

●通信衛星や観測機器の性能がきっと向上したのでしょう。NHKでは天気予報の放送時間が増えたような気がします。「暑い」「寒い」、「いい天気」「いやな雨」、とか気象や気候の話題は「挨拶代り」で概ね無難です。しかし気温が平年より高くなるから「熱中症に気をつけろ」とか、雨が降るから「傘をもて」とか言われても、暑いのが好き、雨が好き、という人にはかえって「鬱陶しい」ことでしょう。

●人間関係や利害がともなう場合など、「逆らう」のがいやで多数派に同調する人がいるかもしれません。一人ひとりの「個性」を尊重し、集団や組織との「摩擦」や「葛藤」を超越するには優れた「監督」が必要でしょうが、多数派を率いるのもけっして容易とはいえないでしょう。

●時代の流れはデジタルへ、さらにエアー(無線)へと突き進んでいますが、これをサポートする技術の一つが「5G」。たしかに「便利」な世の中が実現しつつあるわけです。しかし、便利さの追求だけでは、人間の感覚器官は満足しないのではないでしょうか。

●かつて一世を風靡したオーディオの名門「オンキョー」が、主力の音響事業を外資に売却したのが5月(令和元年)。携帯型音楽プレーヤーやスマートフォンの普及により据え置き型のオーディオ機器が売れなくなったからですが、売却先は米国の「サウンド・ユナイテッド」社。「DENON」や「MARANTZ」などの高級ブランドをもっています。海外ではイヤホンでなく、据え置き型のラウドスピーカーで音楽を聴くファン層も少なくないということでしょうか。

●オーディオマニアが嗜好するのは、「生」(原音)の世界です。「生」は「自然」と言い換えてもいいでしょう。ならば、据え置き型のオーディオ機器が「自然」な音に近いということになりますね。筆者は難聴を避けるため、イヤホンで音楽を聴くことはありませんが、ラウドスピーカーでは、聴き手によって音の良しあしが分かるようです。ちょっと贅沢といえば、たしかにそのとおりかもしれません。音楽とは、そういうものなんですね―。

(和田高幸)

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