まつむし音楽堂通信

 2019年 晩秋号

 

●香港の暴動が収まりません。香港が英国から返還されたのは1984年7月。税制や出入国制度をはじめ、さまざまな自由を謳歌してきた香港ですが、中国の特別行政区となった現在においても「一つの中国」が実現するには、住民の抵抗が大きいようです。

●返還当時、カナダへ居を移した香港人も多かったようですが、カナダ政府が海外保有財産にも課税すると決定したのでカムバックする人が殺到、そのため香港のマンション相場が急騰したそうです。

●さて今回はどうでしょう。香港に住む富裕層は、すでに海外へ居を移しているのでしょうか。経済活動優先の富裕層(華僑)は、景気判断に敏感です。彼らが目を向けているのは、ひょっとして日本かもしれません。すでに日本に定住している外国人は少なくありませんが、日本では土地も自由に買えるし水や食べ物も安全です。

●香港に近い沖縄や九州は、投資先としてのポテンシャルはきわめて高いと思われます。焼失した首里城や鉄砲伝来の種子島、鎖国時代の出島など外国人を受け入れてきた風土もあるでしょう。

●多民族国家ながら、「数寄屋造り」(寄せ集めの美)など独特の文化を次々と醸成しながら単一国家の威厳を保ってきたのがわが国の歴史です。海に囲まれた島国といった地勢によるのかもしれません。過去から未来を通底するタイムカプセル、また交流した国やその時代の事物、文化が保存されている「博物館」ともなっているのです。

●「西洋と東洋の交わりと統合は、日本において体現される可能性がある。すなわち、日本における世界的規模の心理的交流の実現である。この段階では、日本は世界のふるさと、あるいは神殿、あるいは公園として機能しなければならない―。」(「ニュートラルポイントの秘密」1986より抜粋)

(和田高幸)

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