まつむし音楽堂通信

 2020年 おひがん号

 

●おひがんの中日を過ぎ例年ならお花見の季節。というのに新幹線はガラガラ、サラリーマンの多くはテレワーク(在宅勤務)を強いられています。新型コロナウイルスの勢いは衰えを知りません。世界的な流行(パンデミック)に発展しつつありますが、日本でも感染予防のため行動制限を強化する動きが強まっています。

●欧州での腺ペスト(黒死病)が蔓延した14世紀、死者が約7500万人に達したときに収束しています。当時の隊商路をたどって中国で始まった流行が欧州に及んだという点では今回の流行と近似していますが、治療法や予防法(ワクチン)が確立していない現在、ウイルスという極小の「生物」(といっても細胞がない)の意志を探るしか終息時期を予測する方法がありません。

●したがって手洗いなどでウイルスを寄せ付けないように、また免疫力を強化して予防するのが賢明でしょう。免疫のメカニズムはわかりませんが、わたしは「受容」の意識が影響するのではないかと思っています。もし罹ってしまったら「受け入れる」ことで免疫をつくることでしょう。たとえば浮浪者など不潔な環境を「受け入れる」人々は感染しにくいような気がします。もしも臨終に際したならば、「よくこそ来たれ、わが姉妹なる死よ!」と呼びかけ、究極の「受容」を実現した12世紀のカトリック修道士、聖フランチェスコを思い出しましょう。

●新型コロナウイルスによる経済的影響は明らかですが、そもそも貨幣とはなにか、という根本的な問いかけをする契機になるかもしれません。都会では、「食べる」「寝る」といった基本的な活動はもとより「子育て」「教育」にもすべて金銭がともないます。しかし、食べものを物々交換する田舎ではどうでしょう。自然界にある無料の土や空気を使う農作物やそれに伴う「労働」は概ねタダ、だから貨幣は不要です。したがって、なんとなく、これからは人々の行動拠点が「地方」や「過疎地」へと動くような気がしているのです―。

(和田高幸)

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