まつむし音楽堂通信

 2014年 歳末号

 

●俳優の高倉健さんが亡くなり、懐かしい映画の数々が地上波で放映されました。娯楽の中心が映画でお茶の間の主役がテレビ、そしてラジオから流れるのは歌謡曲。これが昭和という時代でした。芝居小屋から映画館へ、SPレコードからラジオ、そしてテレビへと、娯楽媒体も大きな変化を遂げました。地方から大都市へ、小から大へ、大量生産・大量消費へと時代が流れていくのです。

●来年は昭和元年から90年、「戦争を知らない子供たち」一期生が70歳を迎える年回りとなります。「昭和」は人々の記憶からしだいに消える運命にあり、「団塊」の尻尾世代としては甚ださみしい思いがします。

●が、戦後の復興期から右肩上がりの高度成長期、東京オリンピック(1964)、大阪万博(1970)を実見したのはともかく、円・ドル為替の変動相場制、第一次オイルショックによる不況と物価高、バブル景気など貨幣価値の変化にめまぐるしく揉まれて培われた見識の一つや二つを、「平成」の時代にあってもすこしは役立てたいと思うのが人情というものでしょう。

●都市には電気や水道、交通や通信といったさまざまなインフラと、これを取り巻く制御システムが張り巡らされていますが、防災面では完璧といえません。気象異変、火山灰などによる大気汚染、食糧不足、テロ、暴動、さらに感染症の問題もあるでしょう。世界中どこにいても起こりうる問題が、とりわけ都市生活において重大視される理由はただ一つ。それは人口集中、つまり「過密」による影響です。

●しかし、複雑に絡み合うさまざまな都市問題を解決するのはそれほど難しくありません。人口を地方に分散するだけでいいのです。つまり「過疎」を逆用して、高齢化と人口減少の進む地域に適した、小規模の自立型インフラと食糧自給システムを構築するわけです。雇用も増えると思いますが―。

●「陽きわまって陰に転ず」。一極集中(陽)は多極化(陰)へ、大から小へ、男性原理から女性原理へと時代が動いているようです。女性の感性が新しいマーケットを創出する時代には、音楽も、女性に好まれるものがヒットするでしょうね。たとえば「子守唄」とか・・・。
来年は「未」。どうぞ、よいお年をお迎えください。

(和田高幸)

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