まつむし音楽堂通信

 2017年 盛夏号

 

●梅雨、台風、真夏日・・と、絶え間ない気象の変化に適応すべくエアコンの調整はもちろんのこと、体力づくりも欠かせないとあせ(汗)っている毎日です。サラリーマンから自営業、自由業へと転身、やっと心身が解放されてウキウキ、ワクワクというのが本来の姿でしょうが、なぜか気が重いのは「時代の変化」についていけないからでしょうか。

●昼メシを食っているとき、となりのカップルは携帯端末で料理の写真を撮り、仲間たちに配信するのに夢中です。「見た目のおいしさ」をみんなで共有したいのでしょうか。目の前にある「情報」を食べることで、レストランへ入った目的はほぼ達成するのでしょう。「食感(触感)」より「視覚」重視というわけですね。ネット社会は、近い将来、人間の脳や感覚器官の「再構築」を始めるでしょう。

●まつむし(松虫)からチンチン電車(阪堺電車上町線)に乗れば、千利休が生まれた堺の街はすぐおとなり。「天下茶屋」「萩ノ茶屋」の地名が残るなど、このあたりはお茶屋や料亭が多かったのでしょう。「お茶」はもちろんのこと歌舞音曲とも切り離せない土地柄だったといえそうです。

●「茶の湯」が栄えた中世は、階級や階層の差別なく人々が群集した時代。「寄合」や「会所」に集まっては「一期一会(いちごいちえ)」の「淡交(だんこう)」に花を咲かせたのです。ところで現代の茶会はといえば、ホストは掌にのる端末ディスプレィ。この装置をとおして「いいね」ボタンを押す、その行為が「茶会」への参加条件ともなりそうですが、画面上で侃侃諤々と議論するネット戦士たちが、たまたま同じカフェにいて、ついに取っ組み合いの喧嘩が始まる-。こんな場面は、たぶん想像で終わるのでしょうね。

(和田高幸)

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