まつむし音楽堂通信

2016年 新春号

 

●スタンリー・キューブリック監督(1928-1999)の代表作「2001年宇宙の旅」のライトモティフ(示導動機)ともなる「ツァラトストラはかく語りき」(ヨハン・シュトラウス作曲)の導入部、トランペットが象徴的に奏でるC-G-Cの旋律を、当時(1968)のカラヤン指揮、ウィーンフィルの音盤で懐かしく聴きました。

●<夢多かりし>時代の<未知のロマンにあふれた>『21世紀』は<いま何処>、という思いが脳幹を駆け抜け、かるい眩暈に襲われたことを告白しなければなりませんが、さて、映画に登場する謎の物体、月面に埋もれた「モノリス」が、はるか木星からの強力な電波を受けて発動するといった「果てしない」物語に登場するのは、いったいどんな人たちなのでしょう。

●アポロ宇宙船の月面到達(1969)から約半世紀。人類は、将来の木星探査に備えてか、地上400キロのISS(国際宇宙ステーション)で宇宙空間への適応について実験中です。しかし、人類のすべてが、真っ暗闇で無重力、水も空気もない宇宙へ旅立てるとは到底かんがえられません。

●今世紀中に木星へ行くとしたら、宇宙船に搭乗するのは犬でもサルでもありません。たぶんAI(人工知能)でしょう。知識と判断力、制御能力も完璧で、人類にかわって大きなミッションをこなしてくることでしょう。

●もちろん『2001年』のもう「1人」の主役、宇宙船を制御する人工知能「HAL」のように、人類と敵対して反乱を起こさなければ、というのが前提です。いずれ人類は滅びるかもしれませんが、未来のことはだれにもわかりません。ただ「いま」でないことだけは確かです。だから、今日も食べたり歌ったりすることができるのです。

●冷たい、機械的な社会よりも、温もりと感触のある、やさしい世の中がいいのにきまっています。小欄「2014年 歳末号」で、2015年は女性に好まれる「子守唄」がヒットするのではないかと書きましたが、クミコ「うまれてきてくれてありがとう」(つんく♂作曲)が、レコード大賞作曲賞に輝きました。

●リハーサルスタジオ「まつむし音楽堂」は、ことし4年目です。本年も、よろしくお願い申し上げます。 申歳の年頭にあたり、皆様方の益々のご健勝をお祈り申し上げます。

(和田高幸)

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